預言者ムハンマドと猫のムイザ:袖を切り落とした慈悲の伝説

預言者ムハンマドと猫のムイザ:袖を切り落とした慈悲の伝説

2026-04-25

預言者の袖を借りた小さな客、猫のムイザの物語

7世紀のアラビア、メディナの熱い太陽が照りつけるある午後のことを想像してみてください。砂漠の風は穏やかに止み、家の中は静かな静寂に包まれていました。

穏やかな昼寝のひととき

預言者ムハンマドが大切な礼拝の準備をしていた日のことです。彼は神への祈りを捧げるために着る白い外着を手に取ろうとしました。しかし、袖を持ち上げようとしたその瞬間、布の端から規則正しい寝息が聞こえてきました。そこには、彼が何よりも大切にしていた猫のムイザが、この世で最も平穏な顔をして深い眠りに落ちていたのです。

思いやりと慈悲のハサミ

村全体に礼拝の時間を知らせるアザーンの声が響き渡りました。時間は限られており、ムハンマドはすぐにでも礼拝所へ向かわなければなりませんでした。しかし、彼の目の前には心地よさそうに眠る小さな命がありました。もし無造作に服を引き寄せれば、この小さな生き物が見ている幸せな夢を壊してしまうことは明らかでした。 彼はしばらく立ち止まり、ムイザを愛おしそうに見つめました。そして、静かにハサミを取り出すと、ムイザが眠っている袖の部分だけをそのまま残し、自分の服を切り落としたのです。服の形は崩れてしまいましたが、眠っている猫の平穏を守ることはできました。ムハンマドは袖のない服をそのまま身にまとい、礼拝所へと歩いていきました。

三度の撫で心地と残された祝福

礼拝を終えて戻ってきたムハンマドを迎えたのは、眠りから覚めて気持ちよさそうに背伸びをするムイザの姿でした。ムイザは自分を気遣ってくれた主人の心を知っているかのように、深々と頭を下げて挨拶をしました。ムハンマドは微笑みながら、ムイザの背中を優しく三度撫でてあげました。 この物語は、単なる逸話を超えて、イスラム文化圏で猫が霊妙な存在として大切にされる決定的なきっかけとなりました。ムハンマドが猫の背中を撫でたことで、猫たちは高い場所から落ちても四本の足で着地できる能力を得たのだと信じられています。また、イスラム諸国の多くの礼拝所に猫たちが自由に出入りし、人々に愛されている風景も、この古い「思いやり」の歴史から始まったものなのです。
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